青年海外協力隊のタケダノリヒロ(@NoReHero)です
ルワンダで住民の生活向上に携わる「コミュニティ開発」というお仕事をしています
その一環で、彼らの生活状況を知るために「1000軒の家庭訪問」を実施中です
今日はニャカバンダセルの、ルトマ村(※)というところに行ってきました
※ルワンダの行政区分は「県」→「郡」→「セクター」→「セル」→「村」となっています。ぼくの配属先は「ムシャセクター」
正直、自分だったら「ここに住むのはちょっと…」というレベル
「世界にはこんな暮らしもあるんだ」ということを知ってもらえたら嬉しいです。そして「自分に何が出来るのか」を一緒に考えてもらえたら、もっと嬉しい
もくじ
調査する集落探し
さあ、いざ家庭訪問!と言っても、どこかに行くあてがあるわけではありません
今日も愛車の「T2000」(※)に乗って、赴くままにサイクリングするところからスタート
ムシャセクターの丘の上からは「ムハジ湖」が一望できます。いいとこでしょ
人がちらほらいて調査しやすそうな集落で聞き込みスタート
今日の家庭訪問先は「ルトマ村」に決定
相棒ゲット
一軒目に突撃し、お母さんに話を聞いていると、いつの間にか後ろに20人ほどの人だかりが…
そりゃあいきなりアジア人が訪ねてきたらびっくりするよね。それにしてもみんな自由に人ん家入ってくるのね(他人の事言えないけど)
すこしルワンダ語の会話で苦戦していると、英語の出来るお兄さんが登場!
「今日は何件まわるの?手伝ってあげるよ!」
イケメン来た!ありがとう!
名前はエジーデと言うそうです。ぼくがよく行く小学校でいつもお世話になっている先生もエジーデと言います。エジーデみんな良い人説
ルトマ村の暮らし
今日は午前中に2時間くらいかけて、7軒まわれました
調べたのは、JICAからの任務である水・衛生に関することや、食事、収入などについて
屋根もドアもないトイレ
今回の調査で特に目立ったのがこれ。何だと思いますか?
屋根もドアもないトイレ(ルトマ村) Private toilet without roof and door in Rutoma
これ、トイレなんです。屋根がないので、まったく雨を防げないし、ドアもないのでプライバシーゼロです
こちらの家庭も屋根なし・ドアなし。しかも足元はこんな心もとない木で組まれているだけ。下手したら落っこちそうで危ない
足場の危険なトイレ(ルトマ村) Private toilet with a dangerous pit in Rutoma
別の家庭では、屋根が付いていても穴が空いているところも。これじゃ雨が降ったら濡れてしまいます
屋根に穴のあるトイレ(ルトマ村) There are holes on the roof of toilet (Rutoma)
「トイレをする」というごく基本的な行為でさえこんなシビアな状況に置かれてるのは、いくら慣れてるとしてもキツいよね…
この屋根に使われている波々のアルミ板っぽいものは、少し離れた市場で手に入るものの結構高いそうです。こんど市場見てこよう
その辺にあるもので屋根作るとしたら、バナナの葉っぱとかかな…
「簡単で耐久性のある屋根の作り方・直し方」でいいアイデアがあれば教えてください!
収入はゼロ〜1万円
今回訪問した7件のお宅はすべて農家。しかし月に80,000RWF(約1万円)ほど稼げている家庭もあれば、収入ゼロというところも
収入に関わってくるのは土地を持ってるかどうか、その土地が広いかどうか
収入が基本ゼロのお宅は、他の農家の手伝いをして日に800RWF(約100円)もらったりするそうです
食事は1日1食
途中でエジーデから「1日に何回食事をしてるか聞いてみたら?3食食べれない人もいるから」とアドバイスがーー
確かに!!それは気が付かなかった
そこから4軒に聞いたんですが、1軒は1~2食/日、残りの3軒は夕食のみとのこと
あるお父さんに「肉は食べる?」と聞いたところ、ガッハッハと笑いながら「無理無理!肉なんて4~5ヶ月に一回食えれば良いほうだよ!」と言っていました
日本ではよく「アフリカには食べたくても食べられない人もいるんだから、残さず食べなさい」とか「残したらアフリカの人が悲しむよ」とか、時として冗談のように言われますよね
ルワンダ生活10ヶ月目にして、ようやくその言葉がリアルに感じられました
食べたくても食べられない人は、実際います
室内
とある家庭の室内の様子です。どこで寝ているか聞いてみました
お父さんとお母さんはこのベッドで。木と竹のようなもので土台をつくり、敷布団代わりに葉っぱを挟んでその上にシーツが敷かれていました。蚊帳あり
大人用ベッド Parents sleep here. Bed made of trees, bamboos and leaves under sheats.
子どもたちが寝ているというもう1つのベッド。マラリアになると言ってましたが、案の定蚊帳がありません
蚊帳のない子供用ベッド Bed for children without a mosquite net
ただベッドがあるのはまだいい方で、この家は人数が多いため、何人かの子どもはこの床で寝るそうです
ここで寝る子も Some children sleep on the floor
ちなみに、ぼくがいつも日本からのお客さんにホームステイ体験してもらってる家の寝室はこんな感じです
ホームステイ先の寝室 Bed room of rich house in Musha sector
同じルワンダの、ルワマガナ郡の、ムシャセクターの中でも、これだけ差があるのが実情です
ルトマのとある家 Villager’s house in Rutoma
村の若者が考える問題点
ブティック(※)でお礼のファンタを飲んでもらいながら、エジーデとこの村について話してみました
※ちょっとした食料や生活雑貨が買えるパパママストア的なお店。品揃えの多い店はブティック、最低限のものがある店はアリメンテーションと呼ばれる
家族計画
「エジーデはこの村で何がいちばん問題だと思う?」
「うーん…子どもを無計画に産んじゃうことかな」
「確かに今日見た家庭も子ども多かったもんね。コンドームとかは村で買えるの?」
「この店みたいなブティックでも買えるし、ヘルスセンター(6km先)で無料で配ってたりするよ。でも使い方を知らない人も多いんだ」
「”Family planning“は知られてる?」
「そういう知識がないから、子どもが沢山出来ちゃって、ちゃんと養えなくなってる家庭があるんだよね」
ということで、子どもを無計画に産んでしまうという問題があります。確かに、今日訪問した7家庭の子どもの数はそれぞれ、2, 5, 8, 1, 4, 6, 10人と、かなり多かったです
お金がなくても酒は買う
それから、エジーデは「男が酒を飲むことも問題だ」と言っていました
家にお金がなくても、お酒を買って飲んでしまう男も多いんだそうです
これはうちの大家さんである神父さんも同じことを言ってました
そのせいで養育費や医療費が削られてしまっている、と
世界の男女平等ランキングで5位に入ったルワンダですが、こういう話を聞くと家庭内ではまだ父親の権威が強いのかなと感じます
仕事がない
ルワンダでは失業者の多さも問題となっています
実はエジーデも大学を卒業して、まだ仕事を探している最中だとか
「どんな仕事がしたいの?」と聞くと「仕事があるなら何でもいいよ」と言っていました
こんなに英語ペラペラで理解力もある大卒者でさえ仕事が見つからないというのなら、現状は相当厳しいようです
なんとかしたい
まだまだ家庭訪問は始めたばかり。他にも見ていない地域はいっぱいあるので、しばらくは他の村をまわるつもりです
ただ、こうやって直で話を聞いて、こんなに笑顔で迎えてもらったいま、「この人たちの暮らしをどうにか出来ないか」と感じています
屋根のないトイレ、収入ゼロの農家、1日1回の食事、マラリア、床で寝る子ども、家族計画、出費のコントロール、雇用創出ーー
現実的な解決方法なんて、まだ1個も思いつきません
でも、そのひとつでも改善できたら…
なんとかしたい、というか、これはなんとかしなきゃいけないレベルでしょ
他の村も見てみなきゃいけないけど、一通りまわったら、また戻ってこよう
ネパールの先輩隊員かつ大学時代の友人のKeiさんが言ってたけど、ボランティアってやっぱり「場所」じゃなくて「人」でやるもんだよね
「海外でボランティア?なぜ?日本でやれよ」が的外れすぎる理由 – 僕はネパールを変えることができない
覚えておいてほしいこと
日本に住んでいるみなさんには、世界にはこんな暮らしもあるんだってことを覚えておいてほしいです
いま雨風をしのげて、普通に3食ご飯を食べれてるのは、たまたま日本に生まれたから
当たり前じゃない
こんな生活をしてる人が沢山いるのに、ぼくみたいな若造がのらくら暮らしてていいわけない
ルトマの人たちはみんな幸せそうに暮らしてるけど、やっぱり屋根のないトイレを使わなきゃいけないなんておかしいし、1日1食しか食べれないなんて普通じゃない
エジーデ&ルトマのみなさん、ありがとう
また行きます
夕方に暴風雨が
【追記 2016年11月2日】
午前中にこの調査を終えた後、夕方に暴風雨が来ました
ぼくの家も室内で水面がたゆたうレベルで浸水w(強風+豪雨だとドアのすき間から流れ込んでくる)
寝室が浸水 bed room of my house was flooded
「ルトマには他の地域も一通り見たらまた来よう」と思ってたんですが、「こんなに酷い雨で大丈夫かな…」と心配になり、昨日訪問したお宅を見に行くことにーー
そしたら、案の定被害を受けていました
屋根が壊れていた
昨日訪ねたこの家
今日来たら、屋根が壊れていました
この剥がれた屋根の下は、確か寝室だったはず…
昨日見たばっかりの家が壊れるなんて……
ぼくが訪問したときはこの家のおばちゃんは出かけていて、近所のおじちゃんたちが教えてくれました。どうやら屋根は木でくくったりして直せるとのこと
正しい行為?
とは言え、これはあんまりなので、おじちゃんたちに修理代として少しお金を渡しておきました
「いつもいつもお金をあげられるわけじゃないけど、今日は特別だからね。あまりにも被害が大きいからだからね。この家のおばちゃんに渡してね」
と言っておきましたが、この行為は間違ってるのかもしれません
単純にお金を渡すのはボランティアとして良くないことかもしれないし、おじちゃんたちがお金を自分たちの懐に入れてしまうかもしれません
でも、ぼくはやっぱりこれで良かったと思ってます
日本でも誰にでもお金をあげることはないけど、災害が起きたら寄付をする。それと同じです
おじちゃんたちがお金をくすねてしまうかもしれないけど、写真撮って帰るだけじゃ気が済まないし
結局この家のおばちゃんたちには会えずに帰ってきました
そして今もまた雨がーー
「健康で文化的な最低限度の生活」という言葉の意味を考えさせられます
タケダノリヒロ(@NoReHero)
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