【2021/08/19 更新】 タケダノリヒロ( @NoReHero)
子どもの頃に読んだジュール・ヴェルヌの『十五少年漂流記』を無性に読み返したくなり、20年ぶりに読んでみました。
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子どもたち15人が無人島に流れ着いてしまって、サバイブしていくお話なんですが、彼らのサバイバル能力が異次元過ぎて、ツッコミどころしかないです。
けど創意工夫を凝らして、チームワークで困難を乗り越えていく様には大人になってもやっぱりワクワクさせられっぱなし。夢中になって読んじゃいました。
今回はそのあらすじと個性豊かなキャラクター、そして彼らの驚異的なサバイバル能力をご紹介します。
アウトドアとか途上国とか好きな人はハマるかも。ネタバレが気になる方は、読み終わってからまた読みに来て頂ければと思いますが、この記事を読んでからでも充分楽しめると思います。
もくじ
『十五少年漂流記』あらすじ
1860年3月原因不明の事故によって15人の少年を乗せた船『スラウギ号』(出版社によっては『スルギ号[1]』)はニュージーランドから嵐の海に漂流し、見知らぬ土地に流れ着いてしまう。
ここは大陸かもしくは島なのか。主張が対立した少年達は、確認するために海岸から内地へと調査に繰り出す。いくつかの発見の後に、ここが無人島、しかも近くに陸地などがない孤立した島だと認識した。
海風や波にさらされて傷んでいく船から、島内に発見した洞窟に移り住んだ少年たちは、島に名前を与え、自分たちの代表として大統領を選出し、15人の植民地として運営していく体制を整えていく。島内で新たに発見する動植物や、工夫を重ねた道具の作成などで島での生活は次第に潤っていくが、フランス人のブリアンとイギリス人のドニファンとの対立を軸にした仲間割れは、15人の結束に少しずつひびを入れていく。さらに弟ジャックの抱えていた秘密が、ブリアンに大きな衝撃を与える。
そして、漂流から2年目を迎えた嵐の夜、島に謎の船が流れ着いたことによって、少年達の生活は激動していく…。
引用元:Wikipedia
個人的にこのお話で好きなポイントは3つ。
- 島やその島の各エリアに名前をつけたり、大統領を選挙で決めたりと、子どもたちが自分たちの手で「城」を築いていく点
- それぞれのキャラクターの魅力と対立・和解
- 動植物の活用や道具の作成によって困難な環境を生き延びていく点
『十五少年漂流記』キャラクター・関係図
創元SF文庫版より(出版元によって名前表記や年齢が違う)。
ブリアン 頭のいいフランス人の少年、十三歳
ジャック ブリアンの弟、十歳
ゴードン 沈着冷静で公平なアメリカ人、十四歳
ドニファン 成績優秀だがいばっている、十三歳
クロス ドニファンのいとこ、十三歳
バクスター勤勉で器用な少年、十三歳
ウェッブ ドニファン派の少年、十二歳半
ウィルコックス ドニファン派の少年、十二歳半
ガーネット アコーデオンに熱中している、十二歳
サーヴィス 最も陽気な少年、十二歳
ジェンキンズ 学校では優等生、九歳
アイヴァースン やはり優等生、九歳
これだけだとわかりづらいので、図にしてみたのがこちら。
赤文字にしているブリアン、ゴードン、ドニファンの年長者3人を中心にストーリーは展開していきます。
とにかくドニファンが憎たらしい。死ぬほど性格悪い。けどいい味出してます。根は良い奴なんです。ブリアンとドニファンが揉めるたびに冷静に仲裁に入るゴードンも素敵。
そしてぼくのお気に入りキャラクターは黒人見習い水夫モコ。
もう何でも料理しちゃうし、船も操れるし、超素直で良い子だし、大砲ぶっ放すし(後述)で大活躍です。彼なしでは間違いなくこの15人が生き延びることはなかったことでしょう。
少年漫画とかでもよくありますが、こういう個々のキャラクターの長所を活かしながら協力していくストーリーって面白いですよねー。
『十五少年漂流記』感想
ここからはTOKIOもびっくりのサバイバルエピソードをご紹介します。
ウミガメ編
浜辺をのそのそ歩いているウミガメを発見→二本の棒を使って「てこの原理」でひっくり返す→首を斧で打ちおとす
「どうだい、コスター、まだこれがこわいかい?」とブリアンは言った。
「こわくないよ……ブリアン、だって、もう死んでいるんだから!」
いや、余計怖いわ。サイコパスか。
船まで運ぶことは思いもよらないので、その場で解体することにした。不快な仕事だったが、ロビンソンのようなこの生活のなかの不愉快だが必要な仕事に、少年たちは慣れ始めていた。
慣れるんかい。半端ない適応能力。
さらに……
亀甲のすき間に平のみを打ち込み甲羅を割る(斧の刃でも割れないから)→肉を小さく切って運ぶ→モコが調理してみんなでスープと焼肉にして食べる。
ウミガメを調理できる12歳モコさん、ハンパない。
アザラシ編
海岸に100頭ほどのアザラシを発見→土手に身を隠しながら川沿いに河口まで進み、海岸を囲むように岩に沿って並ぶ→三十〜四十歩の間隔で砂浜と海の間に半円形をつくる→ドニファンの合図で一斉に発砲→逃げるアザラシをピストルを発射しながら皆で追いかける→二十頭ほど仕留める
あれかな、テレンス・リーさんでも混じってたかな。アザラシを容赦なくピストルで殺せる子どもって一体。
岩の間に落ちたアザラシを砂浜に引き揚げる(超重労働)→石を並べてかまどをつくり、火を焚いて湯を沸かす→切ったアザラシの肉を入れる→沸騰すると油が浮かんでくるので、それを樽に移す(ひどく臭い匂いに耐えながら)→2日やって数百ガロンの油を調達→冬を越すための灯油を確保
1ガロンってどのくらいだっけ……?
「ガロン=イギリスでは約四・五リットル、アメリカでは約三・八リットル」
仮に100ガロンだとしても少なくとも400Lぐらいあるよね……!ていうかなんでそんな油のとり方知ってるの。。
ちなみにこの島、冬はマイナス30度まで下がります。そんなところで2年も生き延びられる少年たち……。
ジャガー編
大きなジャガーに襲われるドニファン→突き倒される→ウィルコックスが銃をかまえて走って来る→「撃つな!」とブリアンが叫ぶ(敵に居場所を知られるのを防ぐため銃は使えなかった)→ジャガーに飛びかかるブリアン→ジャガーを短刀で一突き→致命傷を受けたジャガー、ばったり倒れる
ジャガーを短刀で一突き……! ブリアンさん身体能力高すぎです。
キツネ編
家禽飼育場を荒らすキツネを三晩続けて銃で退治→銀ギツネの美しい毛皮を五十枚ゲット→敷物や服にする
キツネの毛皮を活用する小中学生……。
サトウカエデ編
「これはカエデだよ!サトウカエデだ!」と発見を喜ぶゴードン→幹に刻み目をつけ、にじみ出た樹液を固めて砂糖に似たものをつくる。
只者ではない感が半端ないゴードンさん。
お酒編
ゴードンの指示にしたがって、モコはトルルカとキャベの粒を発酵させる→粒を桶に入れ重い木の杵でつぶすとアルコールを含んだ液体ができる→砂糖がなくても温かい飲物に甘い味をつけることもできる
すべてはゴードンさんが糸を引いています。
武器編
ゴードンに頼まれて、バクスターは、トネリコの弾力のある枝で弓をつくる→アシで矢をつくって先端に釘をつける→これを使ってウィルコックスとクロス(ドニファンの次に狩猟が得意)はときどき小さな獲物を射落とす。
すべてはゴードンさんが糸を。。
悪者退治編
物語の終盤で、島に流れ着いて少年たちの道具を奪いにやって来るセヴァーン号の一味(ウォルストン、ブラント、ブック)
彼らを、後から仲間に加わった大人の水夫エヴァンズと協力してなんとか撃退します。ウォルストンたちが重傷を負ってボートで逃げようとしたときーー
その瞬間、ものすごい砲声がとどろいた。川の水が大きく飛び散った。
貯蔵室の小窓から、モコが大砲を撃ったのだった。
こうして、チェアマン島には、落とし穴森へ逃げた二人を除けば、セヴァーン号の人殺したちはいなくなった。ウォルストンたち三人は、死体となって、ジーランド川を海へ流れて行った。
モコさん……殺しちゃった……。
人殺しはいなくなりましたが、新たな人殺しが誕生してる……いいの、これ?
『十五少年漂流記』にはこんなワイルドすぎるエピソードがまだまだ満載です。
このメンバーの中にアラサーのぼくが入っても、間違いなく一番役立たずになる自信はあります。
児童文学読み返すの面白いなー!まだ読んだことない方は、ぜひ『十五少年漂流記』読んでみてください。
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タケダノリヒロ(@NoReHero)
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