ルワンダ青年海外協力隊のタケダノリヒロ(@NoReHero)です。
モザンビークで水の防衛隊(※)研修を受けています。
※村落給水、水道管理、水質検査などに携わるJICAボランティアの総称
その中で学んだ「メタファシリテーション」の「事実質問」という考え方が、水関連だけでなくあらゆる場面での問題解決に役立ちそうだと思ったのでまとめておきます。
メタファシリテーションとは?
メタファシリテーションとは、NPO法人ムラのミライが提唱しているファシリテーション方法の1つです。
対話を通して、住民自身に課題に気づいてもらい、解決に向かわせるもので、別名「対話型ファシリテーション」と呼ばれています。
その中で特に重要なのが「事実質問」。
今回の研修では、この事実質問を重点的に学びました。
事実質問とは
通常会話の質問は以下の三種類に分けられます。
- 朝ごはんは、何を食べるのが好きですか?
- 普段、朝ごはんに何を食べますか?
- 今朝、何を食べましたか?
1は感情、2は意見・考え・思い込み、3は事実を表す質問です。
対話を通して相手の問題を解決に導くためには、感情や思い込みなどを排除して、事実にのみ焦点を当てる必要があります。そのため3の事実質問が重要なんですね。
事実質問の組み立て方
事実質問には、WHO(誰が), WHEN(いつ), WHERE(どこで) WHAT(何を)を使います。
逆に使ってはいけないのは、WHY(なぜ)とHOW(どうやって)です。
WHYとHOWには感情や思い込みが含まれてしまうので、事実質問をする際には省かなければいけないんですね。
ただし量や数値を尋ねる、HOW MUCH(いくら)やHOW MANY(いくつ)はOKだそうです。
演習問題
この事実質問を使って、演習をやってみました。二人一組になって、相手の持ち物を1つ選び「これは何ですか?」という質問から5分間会話をするというもの。
ルール
- 事実質問のみ
- 「これは何ですか」から始める
コツ
- 相手に興味をもつ
- 答えをきちんと聞く
- 時系列を意識する
- 相手の状況を視覚化する(風景・手順など)
ぼくが相手に「これは何ですか」という質問をしたのは、iPod。
そこから、お気に入りの曲がマイケル・ジャクソンの曲であること、小学生時代に家にあったマイケル・ジャクソンのCDを聴いてハマり、高校ではクイーン、現在は中島みゆきにハマっているという相手の情報を聞き出すことが出来ました。
「5分は長いなー」と思っていたんですが、やってみたらあっという間。しかも思った以上に初対面の方の情報を引き出すことが出来たので、事実質問の効果を思い知りました。
「これって何ですか?」は誰にでも答えられる簡単な質問です。人は誰かに説明をすることでちょっとした自尊心を感じられるもの。この質問が相手と良好な関係を築くきっかけになってくれるんですね。
相手の気づきを促す
事実質問の最大のメリットは、相手の課題に気づいてもらい、自主的な解決を促すことが出来る点です。
JICAのプロジェクトに対して受け身だった農民が、メタファシリテーションの導入によって、現状を確認・整理し、理解を深め、自発的に提案を受け入れるようになった、という事例も出ています。
研修内の2回目の演習では、自分の協力隊活動における悩みを相手に聞いてもらったんですが、事実質問に答えているうちに考えが整理され、問題解決へのヒントを思いつくことが出来ました。
「○○しましょう」と直接的に指導・助言するのではなく、対話を通して相手に自ら解決方法を気づかせることが重要なんですね。
ルワンダに帰ったら、家庭調査でこのメタファシリテーション・事実質問の手法を使ってみます!
タケダノリヒロ(@NoReHero)