ルワンダ青年海外協力隊のタケダノリヒロ(@NoReHero)です。
この半年間の活動をまとめた「二号報告書」をJICAに提出しました。
せっかくなので、過去ブログの関連記事と合わせて公開しておきます。
マニアックな活動の話が中心ですが、4の「受入国の人々との交流」や、5の「日本とルワンダの違い」などは、『イッテQ』や『こんなところに日本人』を観るような感覚で読んでもらえればと思います。
ご意見・ご感想など頂けるとありがたいです。
3ヶ月目に提出した一号報告書はこちら。
【青年海外協力隊】これまでの活動をまとめた「第一号報告書」公開
要約
本報告書では、以下5点について記述している。
※各項目はJICA指定のフォーマットに従って記述しています。
1. 「活動計画の説明」
活動目標「ムシャセクターにおける水因性疾患の予防・削減」の具体的な活動を記述。学校や地域に対する衛生啓発活動、公共水栓の改善、収入向上など。
2.「活動計画策定に向けた配属先との意見交換」
上司兼カウンターパートであるエグゼクティブセクレタリーとの協議内容を記載。
3.「配属先の動向」
同僚および職場の様子、非効率な会議、イミヒゴ(行政の達成目標)について。
4.「受入国の人々との交流」
近隣住民との関係性の変化や、家庭調査の内容を記載。
5.「その他特記事項」
日本と受入国の違いを記述。距離感と水について。
活動全般に関して
ルワンダに来て半年。これまでは衛生啓発活動を中心に行ってきたが、住民生活に対する理解の不足を実感している。そこでこの半年はこれまでの活動を継続しつつ、家庭調査に重点を置き、任期後半の一年に備えることとした。
家族は何人か、収入はいくらか、水の使用量はいくらか、などの基本的な数値を把握するとともに、2万人いるムシャセクターの住民と交流を深め、彼らの抱える問題を探る。また、それによって自身が協力隊に参加した動機である「突き動かされるような原体験を得る」ことも目的としている。
幸か不幸かこの半年は目を覆いたくなるほど悲惨な住民の状況や、人の生死に関わる出来事には遭遇しなかった。しかし現実には貧困や水不足、劣悪な衛生環境が原因で、病気に罹ったり死亡している人もいるはずである。つまり、裏を返せばまだ本当の問題に直面出来ていない、もしくはそれを見逃している可能性がある。そのような手触り感を求めることによって、自分なりの社会貢献や生きること、働くことについて考えていきたい。
活動計画の説明
活動目標「ムシャセクターにおける水因性疾患の予防・削減」
1. ルシシロ小学校での衛生クラブ組織化
P4~P6(4~6年生)から生徒を約30人選抜し、衛生クラブを新設した。月に2回ミーティングを行い、学校や地域における水・衛生の問題発見から解決まで生徒たち自身で完結出来るよう支援する。
ルシシロ小学校 | 検索結果: | ルワンダノオト 青年海外協力隊ブログ
2. GSアパジー(セカンダリースクール)での衛生クラブ組織化
既存の衛生クラブの活動が円滑に行われるよう支援する。ミーティングは月2回。
手洗いワークショップ | 検索結果: | ルワンダノオト 青年海外協力隊ブログ
3. コミュニティに対する衛生啓発活動
セクター内には90人のコミュニティ・ヘルス・ワーカー(CHW)がおり、月に1度開催される会議に出席し各CHWと連携を深める。30の衛生クラブが存在するが、その多くが形骸化しているため各CHWと協力してその再組織化を目指す。各CHWおよび衛生クラブ担当者は本業があるため、活動に注力しづらいのが懸念点。
4. 公共水栓の修復・改善
給水施設マップを作成し、管理体制の強化を図る。セクターと水道業者との連携を強め、施設の修復や改善にも取り組む。
湧水改善 | 検索結果: | ルワンダノオト 青年海外協力隊ブログ
5. 住民の収入向上支援
既存の農業・小売業の支援や、起業支援を実施。
活動計画策定に向けた配属先との意見交換
配属先のイミヒゴ(行政の達成目標)に沿った活動計画を策定する予定だったが、今期のイミヒゴが現時点では未定である。そのためこの半年間の活動から把握できたニーズや問題点に基づいて活動計画を策定。意見交換を行ったエグゼクティブセクレタリー(ES)からも概ね同意を得た。
学校向けワークショップはセクターのソーシャルアフェア担当者と、公共水栓の改善はインフラ担当者と協力して動くようにと指示があったため、活動計画に追記した。その担当者ふたりにも私の活動に協力するように、とESから直接指示をしてもらった。言語面でのコミュニケーションも含めて、同僚といかに協働していくかが課題となる。活動計画の一部はESとルワマガナ郡のメイヤーとの協議後、イミヒゴに組み込まれセクター一丸となって取り組んでいく予定。
またアカバレ村における市場の新設(計画進行中)や、ニャビシンドゥ村とアカバレ村の中間点における小規模なヘルスセンター設立(構想段階)にも関わってほしいという要望があった。これらは実現可能性が不透明なため活動計画には含めていないが、配属先や各村の職員・住民と協力しながら進めていく。
配属先の動向
1)同僚について
16年3月から就任しているエグゼクティブセクレタリーが強いリーダーシップを発揮している。職員同士の関係性は良好で、のんびりとした雰囲気。
2)会議について
とにかく会議が長い。週に一回程度(不定期)あり、少なくとも1時間以上、長い時は4時間を超える。休憩は一切取らない。毎回全員が出席しているので、その間住民たちは外で待っている。
ルワンダ語で実施されており、内容を完全に把握できているわけではないため意見を言える立場ではないが、「会議時間の削減および出席人数の絞込み」は配属先でもっとも改善したい問題のひとつ。それが長年の習慣になっているため、職員も疑問を持っていないし、住民も不満には感じていないことが原因と考えられる。仕事量も決して多くないためか、仕事の効率化への意識も希薄に感じられる。
3)イミヒゴ(行政の達成目標)について
16年6月末までのイミヒゴは多くの項目で100%達成していたが、数値の信憑性には疑問が残る。自分の活動に関する項目では、「家庭における改善されたトイレの設置率」が期首は71%程度だったのが期末には100%になっていた。
受入国の人々との交流
村の人々との交流は活発になってきている。当初は「ムズング(外国人)」「シンワ(中国人)」と呼ばれていたのが「ウムヤパーニ(日本人)」になり、最近では近所のほとんどの人から「ノリ」と名前で呼ばれるようになった。
家の隣には大家である神父が二人住んでおり、家に招かれてサッカーを観戦しながらルワンダ料理を振る舞っていただくなど関係性は良好。
しかし、村の人々の生活についての理解はまだ浅いので、16年7月中旬より家庭調査を実施中。年内に少なくとも370軒(※)訪問する予定。
※セクター全5,000世帯に対して統計的に信頼出来ると考えられる世帯数。
世帯人数、水や薪の使用量、コスト、収入などの調査を通じて、村人の生活への理解を深めるとともに、信頼関係を構築する。これまでに訪れた家庭ではいずれも訪問を歓迎してくれており、当調査を通じて住民との絆を深められることを確信している。
調査の成果物として「住民衛生台帳」と「啓発ムービー」の二点を作成予定。目的は調査結果を記録として残すことと、当セクターにおける水・衛生環境の現状を国内外に周知する機会とするためである。
新プロジェクト始動!1000の家庭調査&1000の笑顔ムービー作ります!
その他特記事項-日本と受入国の違い
1. 距離感
ルワンダ人は日本人と比べて距離感が非常に近い。そのせいで、不快感を抱いてしまうことも少なくない。
たとえば、バスで隣に座った全くの他人が恋人のように肩に腕をまわしてくる、話をするときに異常に顔を近づける、男性同士で手を繋ぐなど。物理的な距離だけでなく、精神的な距離感も近い。たまたま道端で会って一瞬話しただけで電話番号を聞いてくる、電話やメッセージの頻度が高いが中身は何もないなど。これらをストレスに感じてしまうこともあるが、裏を返せばそれだけ友好的で、受け入れてくれているということなので、無理のない程度にルワンダの感覚に合わせていきたい。
2. 水
ほぼ100%水道が敷設されている日本と違って、ルワンダ人にとって水は非常に貴重である。
水道が通っている家庭もあるが、公共水栓や雨水を利用する住民も多い。公共水栓を利用している住民は、ジェリカンと呼ばれる燃料容器に水を入れて家まで運ぶ。女性や子どもは頭に乗せて、男性は自転車に5個程度括りつけて運んでいる。これまでの調査では近隣住民は1人あたり1日14L程度の水しか使用しておらず、これは日本の20分の1以下である。
以上。
第2クオーターもがんばります。
タケダノリヒロ(@NoReHero)