青年海外協力隊のタケダノリヒロ(@NoReHero)です。
ルワンダで、水・衛生環境の改善に携わっています。
今日は「水ビジネス」について勉強してみました。
お堅い話なので、興味のない方はスルーしてください。
水ビジネスについて分かりやすく解説された動画のまとめです。
生島ヒロシさんが司会の『未来ビジョン』という番組で、ゲストは東京工科大学教授の尾崎弘之さん。
2025年には100兆円規模に!
現在、綺麗な水にアクセス出来ない人は世界で10億人いると言われています。
2025年にはこれが35億人になるという予測も。
それにともなって水へのニーズが高まり、水ビジネスは2025年には100兆円規模の巨大市場になるとされています。
100兆円と言われてもあまりピンと来ませんが、どうやら自動車産業やIT産業と同じ規模になるそうです(エイジングケア産業もここに入ってくるとか)。
参考:これから参入すべき業界は史上3つ目の”100兆円産業”である
いまや車やスマホ、PCなんてほとんどの人や企業が持ってますからね。100兆円という市場規模がどれだけ大きいかが分かります。
現在は50~60兆円と言われているので、2倍近く伸びることになります。
参考:最近の水ビジネス市場と主要プレーヤーの動向(日本総研)
水ビジネスのおもな3事業
水ビジネスは3つの事業に分けることが出来ます。
①上流 水浄化事業
膜やポンプ、薬品を使い水を浄化する事業
②中流 水プラント事業
設備機器の建設などを行う
③下流 水道インフラ事業
上下水道の設置、維持管理を行う
日本は①の水浄化事業のなかでも、膜技術で世界の70%のシェアを持っています。
日本では蛇口をひねればそのまま飲める水が全国どこでも手に入りますよね。
だから「世界の水ビジネスでもトップなんじゃ?」と思ってしまいますが、実は日本が得意な水浄化事業は市場規模がすごく小さいんです。
水ビジネスの9割が水インフラ事業。
この分野は「水メジャー」と呼ばれる、フランス、イギリスの3社が独占しています。
スエズ・エンバイロメント(仏)、ヴェオリア・エンバイロメント(仏)、テムズ・ウォーター(英)が80%のシェアを独占してるんです。
じゃあ日本は水ビジネスの世界では評価されていないのか、というとそうではありません。
「漏水率」という基準があります。「水が水道管を通って水を利用する場所に向かうまでに失われる水の比率」のことです。
東京はこれが3%で、世界の主要都市と比べても格段に優秀。350万人の都市が一年に使用する水量と同じくらいの水漏れを防いでいることになります(350万人=横浜市と同じくらい)。
水が漏れてしまってユーザーに届かなければ、作った農産物をそのまま捨てるのと同じようなもの。その分まるっと収入もロスしてしまうので、水漏れを防ぐことは重要なんですね。
第4のビジネスモデル
じゃあ日本が世界の水ビジネス市場に打って出るにはどうすればいいんでしょうか?
尾崎教授は「ノウハウ提供型の第4のビジネスモデル」を提案しています。
資金調達やリスク管理のノウハウのある大手商社やメーカーが中心となって、日本の自治体と新興国を結ぶというものです。
このモデルには、地方で優れたノウハウを持っている余剰人材を活用出来て雇用創出になる、新たな成長産業となる、電気やガスなどその他のインフラ事業にも応用できるなどの利点が。
世界の水ビジネス市場では出遅れている日本。そこに食い込もうと、官民一体となった取り組みが進められています(大阪市のベトナム・ホーチミン市における展開など)。
課題は?
尾崎教授は、現地への提案力が課題だと指摘しています。
オーバースペック(品質が良すぎて値段が高すぎる、現地の市場に合わないなど)の回避が重要だと。
また、日本のノウハウを新興国にまるっと取られてしまわないように、技術移転をしつつノウハウの根っこの部分は保護する仕組みづくりも必要だということです。
国際協力の文脈でもよく語られるこの「技術移転」。
青年海外協力隊では「自分たちがいなくなっても、現地の人たちだけでまわせるような仕組みづくりをしていこう」という考え方が一般的ですが、ビジネスの関係性を保っていくため技術の根幹は教えない、というのはもっともな考え方ですね。
とは言え、水道インフラを整えることが世界の多くの人々の生活に貢献することは間違いありません。
35億人を救う可能性のある100兆円規模の水ビジネス、注目です。
タケダノリヒロ(@NoReHero)
※画像はすべて上述のYouTube『未来ビジョン』のスクリーンショットを使用