ルワンダ青年海外協力隊のタケダノリヒロ(@NoReHero)です。
コミュニティ開発という職種で、水・衛生環境の改善に携わっています。
任地ルワマガナ郡ムシャセクター(村役場的なところ)に配属されて4ヶ月目。
上司から初めてプロジェクトとして仕事を任されました!
このセクターで仕事をもらえることは無いと思っていたため、めちゃくちゃテンション上がりました。
湧水の改善プロジェクトやります。
ルヒタ湧水視察
ルヒタという村の湧水を改善してくれという依頼が住民から上がっていて、そこを一緒に視察してアドバイスが欲しいと上司から言われました。
ルワマガナ郡から補助金が○○RWF出て、住民からもひとり1,000RWF(約150円)集めるよ、と。
「アドバイスって言われても、何か出来るかな…」と思いながらも上司の車に乗り、一緒に見に行くことに。考えてみれば、上司との同行も初めてです。
ムシャセクター・ニャカバンダセル・ルヒタヴィレッジ。オフィスから車で首都キガリ方向に、幹線道路を20分ほど登った道沿い。
ありました!
起伏の激しいルワンダではどこもそうですが、水を汲むためには急で足元の悪い坂道を登り降りしないと行けません。
気を抜くとずるっといっちゃうので、重い水を抱えてたら怪我してもおかしくないですが、みんな毎日水汲みのためにここを行き来しています。
水を汲む住民たち。
正直、思ったよりちゃんとした給水施設でした。
JICAとWASAC(ルワンダの水道局的なやつ)が共同で調査した給水施設の資料にも、コンディションは「F」(たぶん「Functional=機能している」の意)として記載されています。
「NF」(たぶん「Non Functional=機能していない」) や「Abandon=放置されている」の施設もあるのでマシな方です。
「ノリ、ここの改善をプロジェクトとして君にやってほしいんだ。工事にいくらかかるか計算して教えてくれる?」
「どんな風に改善したいとかありますか?」
「…なんていうかモダンな感じで」
インテリアかよ。
とりあえず綺麗でビシっとした感じになればいいのかな…。
正直、何をどうしたら良いのかさっぱり分かりません。前任もいないし、同じ仕事をしてる人もいないから前例もない。しかも期限は一週間以内。
でも、とりあえず「オーケー」と即答しておきました。なんとかなるでしょ。
仕事がもらえたことがとにかく嬉しい
そんな検討もつかない仕事を引き受けてしまったんですが、とにかくプロジェクトとして任せてもらえたことが嬉しかったです。
このムシャセクターに配属されて4ヶ月目になりますが、今まで仕事をもらえたことは一回もなかったですし、これからもそんなことはないと思っていたからです。
だから、自分に出来るのはせいぜい衛生啓発とかソフト面の活動ぐらいかなと思っていました。
でもこれで、セクターの職員として、地域の人たちに対して物理的な面でも支援が出来ることに。
「よっしゃーまずはこの仕事をこなして頭の信頼を勝ち取るぞー」と、初めての戦に臨み、武功を挙げんとする将軍候補生のような気持ちでウキウキしながら帰路につきました(最近マンガ『キングダム』読んでます)。
知り合いの業者に相談
しかし「出来る」とは言ってみたものの、自分では何も出来ないので人に頼るしかありません。
他の隊員に聞いてみればいいのかな…とか、JICAの専門家に相談すればいいのかな…とか、いろいろ考えましたが、ムシャセクターの給水施設を管理している会社の社長に相談してみることにしました。
以前知り合って、施設の見学などに連れて行ってくれた人です。郡から委託されてセクターの水管理を担ってるちゃんとした業者さん。
工賃を知るなら実際に作業をする業者に聞くのが一番早いはず。
彼には英語が通じないので、電話する前にルワンダ語で電話用の台本を作るところから。
「セクターの仕事で湧水の改善をしなきゃいけないから、そのアドバイスが欲しいんだけど」
「今週ムシャセクターに来る機会ある?(彼の事務所は首都キガリ)」
「実際に来て、見てもらえるとありがたいんだけど」
「来れないなら、キガリで会える?」
「工事にいくらかかるか、来週までに上司に報告しなきゃいけないんだ」
日本語か英語だったらこんな仕事一瞬で終わるんだけどな…。
どきどきしながら電話かけてみました。
「久しぶり!ちょっと相談があるんだけど」
「おーノリ、いまどこにいるの?」
「どこって、家だよ?」
「ちょうどいまルワマガナ(このエリアの中心地)まで来てたから、すぐそっちに行くよ!カーナ(家の隣のバー)で会おう!」
ラッキーすぎる。
用意したセリフを使うこともなく、30分後には直接会って話すことが出来ました。
先延ばしにせずにすぐ電話してよかったー。
再び湧水の視察へ
バーで落ち合って事情を話すと、すぐ理解してくれてそのまま一緒に湧水まで行くことになりました。
ちゃんとこっちの意図が伝わった!電話では使わなかったけど、やっぱり事前に使いそうなルワンダ語調べといてよかったです。
本日二度目の視察へ。
社長は水を掬って口に含んでみたりしながら、「コンクリートで土台を作って、パイプの位置を上に上げなきゃいけないね」と。
さすがプロ。この人に任せてればなんとかなりそうです。
確かに現状ではパイプの位置がかなり下にあるので、水を汲むのがかなり大変そう。
下に溜まってる汚い水まで一緒に入っちゃう可能性もありますね。
まわりはぬかるんだ泥やぼうぼうの雑草に囲まれていて、虫も飛んでいるのでとても衛生的とは言えません。
コンクリートで周りを固めればその辺りも改善されそうです。
社長は地域の人たちとも話してたので、(何を話していたかは分かりませんが)きっと彼らのニーズを汲みとってくれていたはず。
「全部計算して、明日見積りを出すよ!」
と言ってくれました。
この「明日(Ejo)」はルワンダではまったく当てにならない(明日が数日とか数週間を指すこともある)んですが、彼なら辞書通りにEjoに送ってくれるんじゃないかと淡い期待を抱いています。
まあ多少遅れても、まだ上司への報告期限までには時間があるのでなんとかなりそうです。
念のため上司をCCにつけて、リマインドメールを社長に送っておきました。とりあえず自分がやるべき仕事はやりましたよ、という上司へのアピール。
あとは返事を待つだけ。
今日の学び
今日やっぱり大事だなと思ったのはこの3つ。
・とりあえずやってみる
・やると決めたら即行動
・でも事前準備は怠らない
出来る自信がなくてもとりあえずやってみること。自分で出来なければ人に頼れば良い。
もちろん100%無理な仕事を引き受けたら迷惑なだけですが、一見無理そうでも出来る方法を考えてみるのは大事だと思います。
やると決めたらすぐに動くこと。「明日でいいや」と思って、昨日電話をしなければタイミングよく給水施設の社長と会うことは出来ませんでした。
しかし、即行動と言っても最低限の準備は必要です。社長と話す前に使いそうなルワンダ語を調べておいたことで、スムーズに打ち合わせをすることが出来ました。
まだまだ先は長そうですが、この湧水がモダンな感じになる日が楽しみです。
帰りがけに自転車で通りがかったおじさんから鳥を買った社長。
小銭しか持ってなくて、ぼくにお金を借りてまで(500円弱)買ってました。そんなに欲しかったのか。
お金はムシャセクターのブランチオフィスに取りに戻ってすぐ返してもらえて一安心。
社長、よろしくお願い致します。
タケダノリヒロ(@NoReHero)