同期のルワンダ隊員ぴかりんが報告書を公開してたので、便乗します。
職種は同じコミュニティ開発ですが、彼の要請内容は主にコーペラティブ(組合)の支援、ぼくは水・衛生環境の改善なので、やってることは全然違います。他の隊員と比べてみると面白いですね。
他の隊員の方々、これから協力隊を目指す方、協力隊は関係ないけどぼくが普段どんな活動をしているのか気にかけてくださってる方々、参考までに御覧ください。
もくじ
報告書要約
本報告書では、1.「活動地域及び配属先の概要」、2.「ボランティアが所属する部局の概要」、3.「配属先のニーズ」、4.「活動計画準備状況」、5.「受入国の印象」について記述している。
要望調査票の内容と関連するムシャセクターにおける課題としては、水因性疾患の予防と対策、郡庁とセクター、学校、ヘルスセンターなど各アクターの関係強化、コミュニティモビライゼーションの促進などが挙げられる。
同僚にはカウンターパートと呼べる担当者は存在しないが、16年3月に着任したエグゼクティブ・セクレタリーが積極的な協力姿勢を見せてくれているため、今後の協働が期待される。その他大家である神父や、ヘルスセンター医師、学校長や教師、給水会社社長などと人間関係を着実に構築しており、彼らを繋ぐ地域のコーディネーターとしての役割を果たすことが、現時点ではJOCVとして果たすべき役割だと考えている。
要望調査票と実際の状況には比較的大きな差異があった。具体的には「給水施設の維持管理を行う住民組織の能力強化支援のための助言を行う」という記載があるが、そのような住民組織は現時点では存在しないといった点である。
活動計画準備状況に関しては、住民への聞き取りや給水施設の調査から始め、4月中旬(※追記 4/29に日程変更)に一回目の小学校での衛生啓発ワークショップを開催予定。そこで青年海外協力隊及び水の防衛隊の活動を生徒とその保護者に説明するとともに、水の使い方や衛生意識に関するアンケートを実施し、今後の活動方針を策定する。その他、薪や炭の代替となる簡易ソーラークッカーの普及や、若者の雇用・起業支援なども活動の可能性として視野に入れている。
住環境に関しては多少食料調達に難があるが、それ以外は電気・水道・ガス・ネットなどインフラもすべて滞り無く使えているため、活動の支障になるような問題は現時点では発生していない。
活動地域及び配属先の概要
(1)活動地域概要、抱える問題
1)人口・世帯数
ルワマガナ郡には14セクターあり、ムシャセクターは人口・世帯数ともに9番目(約21,000人,5,000世帯)。
2)電気普及率
電気普及率は9.7%。郡内では、キガビロ、ムハジ、カレンゲセクターは20~40%と比較的高い。
3)教育
初頭教育(Primary)就学率は男性85.4%、女性87.3%である。中等教育(Secondary)就学率は男性15.0%、女性18.7%。
4)経済
郡の経済活動においては、農業・畜産に携わる人口が80%以上。主な農産物はバナナ、トウモロコシなど。セクターは鉱物資源が豊富で、Piran Resources Ltd. が採掘を行っている。
郡全体の16歳以上の就業率は83.9%。
5)医療
セクターにはヘルスセンターが一軒ある。水因性疾患が多く見られ、マラリアも増加しており、16年1月の患者数は1,200名以上で患者数の約7割に及んだ。
(2)配属先の事業内容、組織体制(人員配置状況)
セクターの自治、人員は10名前後(近隣セクターとの掛け持ちスタッフあり)。
(3)配属先の援助受入れ実績
新規配属。
ボランティアが所属する部局の概要
(1)ボランティアが所属する部局の事業内容及び課題
特に部局は存在しないが、同じ部屋には土地管理担当者(Land manager)と獣医(Veterinaire)が勤務している。私の活動内容は水・衛生環境の改善という認識を同僚から得ている。その他スタッフは、会計、カスタマーケア、教育、森林管理など。
(2)同僚の人数及び技術レベル
人員は10名前後(近隣セクターとの掛け持ちスタッフあり)。使用言語はルワンダ語。ほぼ全員フランス語も堪能だが、英語でのコミュニケーションが可能なのは獣医2名と森林管理1名のみ。
16年3月21日に、上司兼カウンターパートとして紹介されたエグゼクティブ・セクレタリーが他セクターに異動となり、新エグゼクティブ・セクレタリーがギシャリセクターから着任した。英語が通じ、理解力・リーダーシップともに高く、積極的にコミュニケーションも図ってくれるため、今後の協働が期待される。
配属先のニーズ
(1)ボランティアに対して期待している内容
1)学校における衛生啓発活動
2)コミュニティ・モビライゼーションの促進
3)JICAやWASACと協働したセクターへの安定的な給水の実現
4)セクターの衛生環境向上
(2)当初要請時のニーズからの変更点
1)要望調査票には「給水施設の維持管理を行う住民組織の能力強化支援のための助言を行う」という記載があるが、そのような住民組織は現時点では存在しない。公共の水道はあるが、井戸やハンドポンプがあるわけでもないので、特に維持管理は必要ない。
2)配属先同僚には「セクター農業技官(水担当)」や「給水施設維持管理グループ(アソシエーション)スタッフ」がいるという記載があるが、そのような担当者は存在しない。
活動計画準備状況
(1)現地調査等の準備状況
1)給水施設
視察、利用者への聞き取り調査、簡易水質検査、給水施設マップ作成、給水会社(End Construction)との同行視察を実施。
課題としては①飲用水の煮沸・殺菌による水因性疾患の予防、②住環境・栄養状態改善によるマラリア予防、③給水施設周囲への柵設置による水質汚染防止の三点が挙げられる。
2)セクター全般
大家である神父と、学校や児童施設、住民宅を訪問。交友関係を拡大中。
3)学校
3校視察。Rusisiro primary schoolにて4月22日(※追記 4月29日に日程変更)に1回目のワークショップを実施予定。
(2)配属先や関係者との打ち合わせの内容
1)配属先
発見した課題と解決方法を随時提案し、フィードバックを受けている。Weekly reportを毎週提出。
2)ヘルスセンター医師
セクターの水因性疾患の現状と、予防・対策について話し合いを随時実施中。
3)給水会社社長
セクターにおける給水施設の問題点について話し合いを随時実施中。
4)小学校教諭
随時ワークショップの打ち合わせや情報共有を実施中。
コーディネーターとして上記関係者を繋いでいく。
受入国の印象
(1)インフラ
インフラが脆弱だが、他アフリカ諸国の情報を聞くと、比較的整備されているよう。電気は天候が荒れると停電になりやすい。水道は通っている家もあるが、公共水道や湧き水から運んでいる家庭や、雨水を利用している家庭が多い。ガスを利用している家庭は少なく、薪や炭の利用が一般的。しかし煙による健康被害や、節約のために煮沸を避け水因性疾患になるケースもある。道路も舗装されているのは幹線道路のみ。首都であっても、幹線道路から一本横道に入ると赤土の凸凹道になる。通信面はほぼ全国民が携帯電話を所有しており、モバイル送金システムも普及している。ネットカフェ等も各地にある。WiFiは地域によっては繋がりにくい。このようなインフラの脆弱さが国の経済発展の速度を鈍化させている印象。
(2)交通
一般的な交通手段は自家用車、バス、バイクタクシー。地方には自転車タクシーも多い。電車はない。交通の便の悪さも経済活動に支障をきたす一因となっている。
(3)国民性
温厚でシャイ。感情の起伏が薄い。体裁・世間体に気を使う。歴史的背景から、家族や出身地などプライベートな話に踏み込むのがタブー視されている。
JICAへの要望・提案
配属先や学校からは、資金や物資などハード面での援助も求められている。特に現時点で利用出来るのが雨水のみの学校からは給水施設の導入が、エグゼクティブセクレタリーからはセクターへの安定的な給水の実現のため資金的な援助や給水施設の増強などが要望として挙がっている。
先方にはJICAからハード面の援助を得ることは難しいという説明をして理解は得ているが、問題解決の有効な手段であることは間違いないため、現状を精査したうえで改めて要望を挙げる所存である。
その他
これに加えて添付資料として、毎週頭に上司に提出している”Weekly Report”(やったことと次のステップを数行で報告)と、同僚に見せた「自分の取扱説明書」(自己紹介資料)、「小学校でのワークショップ概要」の3点を提出しました。
調整員からのフィードバック
ボランティア調整員(ボランティアのまとめ役)の方からは、「もっともっと自由な発想で水と関わってもらっても良い」というアドバイスを頂きました。
水が必要なのは人間だけでなく家畜にも野菜にも当てはまる。水は動植物の発育に有益である反面、洪水などで被害も引き起こす。いろんな切り口から検討し、色んな分野を組み合わせれば面白いのでは、といった内容でした。
水の防衛隊は先輩方の活動の蓄積があるので、どうしてもそれに頼ってしまいがちです。あまり「こうあるべき」と決めつけすぎずに視野を広く保って、新しいことにどんどん挑戦していきたいと思います。
タケダノリヒロ(@NoReHero)