近所の村長さんから「学校に水がない」という相談を受け、小学校を視察、先生や生徒に聞き取り調査してきました。
ルワンダの小学校に潜入!突撃インタビュー&ワークショップ開催決定
そこで分かった課題と解決案をまとめて、先週着任した上司に企画書として提出。
それによって、自分の役割が少し明確になってきました。
何の取り柄もないコミュニティ開発にだって出来ることはあるよ!ということで、「コーディネーター」として活動していくうえで使うカッコ良い肩書きを一緒に考えて下さい。
新上司「あ、JICAの人なの?」
先週着任したばかりの上司(Exective secretary)に、小学校における水・衛生環境の課題と解決案をまとめてメールで提出しました。それがこちら。
project for rusisiro primary school from Norihiro Takeda
メールを送って10分ほどしたら、上司が「ノリ、ちょっとぼくの部屋に来て」と呼びに来ました(ルワンダのオフィスは日本のような大部屋ではなく大抵小部屋に分かれています。集中できて良いけどコミュニケーションが取りづらい)。
「え、もう目を通してくれたの?」と半信半疑で部屋に入ると、やっぱりちゃんと読んでくれてました。仕事が速い。事前に概要だけ口頭で伝えておいたのが良かったのかもしれません。
「この学校のプロジェクトについて詳しく教えてもらえる?」
「衛生啓発活動を通して、水因性疾患の予防と削減を目指します。と言うのも、この学校には水道がなくて、雨水を使っているんです。水道など給水施設を新設出来ればいいのですが、それにはコストがかかりますし、ぼくの力ではそこまで出来ないため、まずは衛生啓発活動から行っていきます。
学校でも水と衛生に関する授業は行われているので、生徒たちにも知識はありますが実践は出来ていません。その原因のひとつが親の意識および知識不足だということが判明したため、生徒とその親を対象としたワークショップを実施していきます。」
「なるほど。もし給水施設を作るとしたら関わってくるのはWASAC(※)かな?」
※ルワンダの水道局
「いえ、このムシャセクターでは◯◯という会社がルワマガナ郡から委託されています」
「◯◯?そうなんだ。知らなかった!」
「メインオフィスはキガリですが、ブランチはこのオフィスの目の前にあって、社長もたまに来てますよ」
「そうか。じゃあ今度会ってこの件に相談してみないとね!」
セクターのトップとは言え、新しいセクターのことは知らないものなんですね。
ぼくはその社長とすでに知り合っていて、給水施設の視察に連れて行ってもらったり、一緒に飲んだりしてました。この記事に出てくる「エイジン」がその社長です。
上司がエイジンと繋がってくれれば、もしかしたら小学校に給水施設を導入できるかも。
しかし驚きの事実発覚。
「WASACとJICAは協働しているので、WASACの協力を仰ぐことも可能かもしれません」
「あ、ノリはJICAの人なんだね。前のセクターにもJICAの人がいたから知ってるよ」
そこからですか。ぼくを何だと思ってたんだろう。どうせ引き継ぎでぼくのことなんか教えてもらってないですよね。こんどちゃんと自己紹介しよう。
おれはコーディネーターになる!
上司が色々知らなすぎてちょっとびっくりしてしまいましたが、この5分足らずの面談で自分の役割がはっきりしてきました。
コーディネーターになること。つまり、水や衛生に関わる組織・団体の間を取り持って、人と人を繋ぐ仲介役になるということです。
これまでは「自分にはモノやカネなどの物理的な援助は出来ないから、衛生啓発活動などのソフト面での援助しか出来ない」と思い込んでいました。
でも考えてみれば、JICAや郡庁などの機関を説得して資源を引き出すのは「難しい」というだけで「不可能」ではありません。自分が直接援助することは出来なくても、その力を持っているアクターを間接的に動かすことは可能です。
汚い雨水しか使えないからろ過とか煮沸の重要性を教えようと思ったわけですが、そもそも給水施設を設置してきれいな水を使えるようにすれば、根本から問題を解決出来ちゃいます(それでも衛生教育は必要ですけどね)。
だからソフト面だけでなく、ハード面から問題を解決する可能性を捨てちゃいけないなと思いました。
そこで「コーディネーター」の出番です。自分のイメージする動き方をはっきりさせるために図式化してみました。今回のように学校が支援対象となる場合はこんな感じ。
赤い矢印が知識や情報などソフト面の支援。灰色がカネやモノなどのハード面の支援。この両者がないと根本的な解決には至りません。現在は各アクター同士の繋がりがほとんど無い状態なので、自分がハブとなって関係を構築・強化していきます。
ムズングの特権
ぼくはこの地域で唯一の「ムズング(外国人)」なので、それだけで一目置かれています。だから「こんなプロジェクトがあるから協力して!」ってお願いしやすいんです。全くの他人でも「オー!ムズング!」って受け入れてもらえます。
このセクターでぼくより上手くこの役割を担える人はたぶんいません。専門的な技術や知識はありませんが、行動力と好奇心はこの村で一番あるはずです。
「踏み出す勇気」と「踏み込む勇気」だけで今のところなんとかなってます。大抵のことは「ムズングだから」で許されます。知らない人と話すのは楽しいですし、失う物もないですからね。それに踏み込んだ方が面白いブログを書ける(←大事)。
肩書き募集!名乗ることから始めよう
そこでこんな文章を思い出しました。
商品を売ったり、報酬をもらったりする前に、自分はパティシエだとか、ライターだと名乗ることから始めましょう。そのように意識を変えるだけで色々なことが変わってくると、Goinsさんは考えています。
ということで、プロの「コーディネーター」を名乗ることにします。でもそれだけじゃ何をする人かよく分からない…。「地域開発コーディネーター?」「コミュニティ・コーディネーター?」など色々考えて、そんな職種があるのかググってみました。
community coordinator 279,000,000件
地域コーディネーター 4,780,000件
地域開発コーディネーター 1,320,000件
コミュニティ・コーディネーター 501,000件
コミュニティ・ファシリテーター 180,000件
検索ヒット件数からすると、英語の「community coordinator」という肩書きはある程度市民権を得ているようです。日本語で一番多いのは「地域コーディネーター」ですが、あんまりカッコ良くない…。
「”地域コーディネーター”なら意味も分かるし良いんじゃない?」「”コミュニティ・コーディネーター”はちょっと長い」など何でも良いのでご意見をいただけると嬉しいです。
もちろんまったく新しい肩書きも大歓迎です!
タケダノリヒロ(@NoReHero)