【2019/07/27 更新】
アフリカ・ルワンダ在住、タケダノリヒロ(@NoReHero)です。
世界経済フォーラム(WEF)の発表した2017年度版「男女格差ランキング」、日本は今年114位と過去最低を記録しましたが、注目は4位にランクインしたルワンダ。昨年の5位からワンランクアップしています。
2016年 5位
2017年 4位(前年比1ランクアップ)
2018年 6位(前年比2ランクダウン)
ルワンダといえばジェノサイド(大虐殺)のイメージが強く、それ以外は日本人にとって馴染みのうすい国ですが、男女平等が評価されている理由は何なのでしょうか?
昨年(2016年)ランキングが発表された際にルワンダが男女平等で上位にランクインしている理由、ルワンダ在住日本人の目から見た現地のジェンダー事情、それからリーダーとして活躍するルワンダ人女性にインタビューをまとめてあります。
その内容を一部更新したので、ご覧ください。
Contents
ルワンダは女性議員の割合世界一
ルワンダが男女平等ランキングで高く評価されている理由のひとつには、「女性議員の比率が世界一」であることが挙げられます。
その鍵となっているのが「クオータ制」です。
現在(注:2013年)のルワンダは男女同権が浸透、下院議員に占める女性比率は56.3%とスウェーデンなどを上回り世界一だ。
発端は内戦で男性が減った後の新政権が苦肉の策で打ち出した「女性の活用」。2003年には議席の3割以上を女性とするクオータ制(割当制)を導入した。これが思わぬ効果を生んだ。「女性の意見を取り入れる風潮が政界から社会の隅々に広がった」。08年に女性初の下院議長に選ばれたローズ・ムカンタバナ(51)は変化を強調する。
1994年に発生したジェノサイドで男性の数が激減。苦肉の策として「女性の活用」が活発になったとされています。
2018年 61.3%(世界一)
男女の構成比
実際に数字を見てみると、ジェノサイドが男女の構成比に与えた影響は一目瞭然です。
これはルワンダにおける女性100人に対する男性の割合。
3種類の統計(青:UN Estimate, 赤:World Bank Estimate, 緑:US Census Estimate)が引用されており、データによってかなりばらつきが出ていますが、赤と青のグラフを見ると、ジェノサイドのあった1994年を境に男性比率がぐっと下がっているのが分かります。
引用元:Graphic Monday: Comparing Population Statistics
ルワンダでのデータの管理なんてほんとに適当なので、これだけ統計結果に差が出ているのも納得できます。
ただ、実際に現地で2年近く暮らしてきて、家庭調査をしている身からすると、シングルマザーが多いのは事実です。
だから、女性が活躍せざるを得ないという理由にも納得がいきます。
男尊女卑の風潮も残る
とは言え、実際には男尊女卑の風潮はいまだに残っています。
家で偉いのは父親
学校で衛生啓発活動をしているんですが、子どもに聞くと「お父さんだけキレイに洗った果物や煮沸した水を飲んでいる」という家庭がありました。
食材をきちんと洗わなかったり水を煮沸消毒せずに飲んだりすることが、下痢などの水因性疾患の原因となっているんですが、水が不足しているため一番偉い父親が優先して水を使っている家庭もあるというのが実情です。
職業選択の自由
以前、女性のバス運転手を見かけたことがあります。
ルワンダにも昔の日本みたいに「女は運転なんかするもんじゃない」って価値観があるのかと思って「女性の運転手さんは沢山いるの?」って聞いたら「イエス」って言われた。「ノー」の答えしか予想してなかったから会話途切れてしまった…。間違いなくレアなんだけどな…
— タケダノリヒロ@アフリカ・ルワンダ (@NoReHero) October 24, 2016
ルワンダでは、自転車タクシーやバイクタクシーの利用が盛んなんですが、その運転手も男しか見たことがありません。
ルワンダ人に聞いたところ、たしかに以前は「女は運転なんかするもんじゃない」という昔の日本のような価値観があったそうです。
ただ、前述の通り多くの女性が議員になっていますし、ぼくの職場(村役場的なところ)も職員は8割方女性ですし、学校や会社などのトップが女性という例も多いです。
なので女性の運転手が少ない理由としては、「女はこうあるべき」という価値観によると言うよりは、体力が必要で決して給料も高くない仕事をわざわざ選ぶ女性が少ないだけという可能性の方が高そうですね。
ルワンダ女性校長インタビュー
この「ルワンダの男女平等問題」について確かめるべく、重要なポストで活躍しているルワンダ人女性にお話を伺ってきました。
質問に答えていただいたのは、ぼくの住むルワマガナ郡ムシャセクターにあるルシシロ小学校の校長先生。
テスト期間でバタバタしている上にアポ無しだったにも関わらず、快く答えてくださいました。
「今日は全然お洒落してないんだけど…」と恥ずかしそうでした。話しかけながら何枚も撮ってやっと正面を向いてくれた一枚
ランキングは間違いない
男女平等ランキングでルワンダは5位(2016年当時)になってますが、本当にルワンダは男女平等だと思いますか?
ーこの結果の通りだと思います。女性の比率が世界一になっている議会をはじめ、あらゆる企業や組織の要職に女性が採用されてますからね。
最近は家庭でも女性が権限を持つところが増えています。
ジェノサイドの影響
そのような風潮になったのは最近のことですか?
ー昔はそうでもなかったけど、ジェノサイドがあって変わりました。あれ以来男女平等に対する意識が国全体で高まったと思います。でもジェノサイド以前も女性が首相になったりしてたんですよ(※)
※アガート・ウィリンジイマナ(Agathe Uwilingiyimana、1953年5月23日生 – 1994年4月7日没)はルワンダの政治家。1993年7月18日から1994年4月7日に死去するまでルワンダの首相を務めた。彼女はルワンダ虐殺の初期段階で暗殺された。ルワンダでは初にしてこれまでのところ唯一の女性首相である。(Wikipediaより)
すべてに自信をもつ女性たち
先生が女性として差別を受けたり苦労したことはありますか?
ー全然ないですね。確かに以前はあまり良くなかったけど、最近では男性の方が女性の後をついて行ってるように感じることもあるくらいです。
いまでは建築関係やエンジニア、パイロットになる女性も増えてきていますし。
【参考】ルワンダ初の女性パイロットに関する記事(2013年)
Rwanda’s first female pilot takes to the skies at 24//cdn.embedly.com/widgets/platform.js
ルワンダは男女平等の国!
ということで、ランキングの通りルワンダはかなり女性の社会進出が進んでいる国だと言えるのではないでしょうか。
Rwandan women have confidence for everything.
ルワンダの女性はすべてのことに自信をもっている
という校長先生の力強いことばが印象的でした。
いまだにジェノサイドの印象が強いルワンダですが、アフリカにいることを忘れてしまいそうなほど治安が良く、首都キガリには高層ビルが立ち並び、民族対立があったことなんてウソのようにみんな平和に暮らしています。
多くの方がルワンダが上位にランクインしていることに驚いていましたが、これで少しはルワンダの現状について知ってもらうことが出来たかなと思います。
日本も変えていきましょう。
タケダノリヒロ(@NoReHero)
[…] 世界の男女平等ランキングで5位に入ったルワンダですが、こういう話を聞くと家庭内ではまだ父親の権威が強いのかなと感じます […]
[…] 世界の男女平等ランキングで5位に入ったルワンダですが、こういう話を聞くと家庭内ではまだ父親の権威が強いのかなと感じます […]