世界銀行グループが、2017年10月31日に「ビジネス環境の現状2018:雇用創出のための改革(Doing Business 2018: Reforming to Create Jobs)」を発表しました。
このなかで、「この15年間で最も多くのビジネス改革を実施した国」とされているルワンダ。
「ビジネス環境の現状」:ビジネス環境改善に向けた改革、15年間に3,200件近く実施
いったいどのようなビジネス改革がおこなわれてきたのでしょうか?
報告書でルワンダにかかわる箇所をまとめてみました。
Contents
ビジネスのしやすさランキング2018
報告書の冒頭には「ビジネスのしやすさランキング(Ease of doing business ranking)」が掲載されています。
190カ国中ルワンダは41位で、日本の34位と大差ありません。
ルワンダのビジネス改革で評価されているのは、以下の5点。
- 建設許可取得(Dealing with construction permits)
- 不動産登記(Registering property)
- 少数投資家保護(Protecting minority investors)
- 納税(Paying taxes)
- 契約執行(Enforcing contracts)
サブサハラ・アフリカでは、モーリシャスに次いで2位。不動産登記のしやすさは世界2位であることなどが強調されています。
いずれも個人レベルではあまり関係のない小難しい話ですが、以下ひと項目ずつ簡単にまとめてみました。
ルワンダが実施したビジネス改革5項目
建設許可取得(Dealing with construction permits)
Rwanda increased quality control during construction by introducing risk-based inspections.
リスクベースの調査を導入したことで、建設期間中の品質管理が向上。
不動産登記(Registering property)
Rwanda reduced the time for a property transfer by introducing new online services such as user searches of property information and online property transfer filing and registration (figure 3.4). It is now possible to search online for owners of specific properties, locations and the encumbrances affecting the property. In addition, the parties, or their notary, can file the property transfer deed for registration online.
新しいオンラインサービスを導入したことで、資産譲渡にかかる時間を削減。このサービスではユーザーが資産情報を検索したり、オンライン譲渡の申請や登録ができる。
少数投資家保護(Protecting minority investors)
Rwanda strengthened minority investor protections by making it easier to sue directors, clarifying ownership and control structures and requiring greater corporate transparency.
取締役の訴訟、所有権の明確化、仕組みのコントロール、企業の透明性向上を容易にすることで、少数株主投資家の保護を強化。
納税(Paying taxes)
Rwanda made paying taxes easier by establishing an online system for filing and paying taxes.
税金の登録と支払いのためのオンラインシステムを構築して、納税を簡素化。
契約執行(Enforcing contracts)
Rwanda made enforcing contracts easier by making judgments rendered at all levels in commercial cases available to the general public on the judiciary’s website.
司法のウェブサイト上で一般に公開されている商業的なケースでは、すべてのレベルで判決を下すことによって契約がより容易に。
ルワンダ指標一覧
以下の表に、ルワンダに関する指標がまとめられています。赤いチェックが付いているのが、ビジネスをより容易にしている項目。
これを見るといちばんの課題は「電力の供給」のようです。
私は首都キガリから来るまで1時間ほどの農村部に住んでいますが、毎日のように停電が発生しています。とは言え数分から長くても1時間程度で復旧するのですが、キガリにいても停電に遭遇することは多いので、電力を必要とするビジネスの場合はここがネックになりそうです。
生活費のなかでも電気代が大きな割合を占めており、私の場合は電灯、冷蔵庫、ドライヤー、PC・スマホの充電などで、月に15,000RWF(約2,000円)ほど支払っています。
健全なビジネス環境が改革を促進する
世界銀行のクリスタリナ・ゲオルギエヴァ最高経営責任者(CEO)はこのように述べています。
民間セクターが繁栄できる環境が整っている国やコミュニティは、雇用の創出をバネに状況を大きく改善することが可能だ。公平で効率的、かつ透明性の高い規則は、ガバナンスを向上させ、不正への対応策になる、と報告書は呼びかけている
引用元:THE WORLD BANK プレスリリース
企業がビジネスを拡大させ、国の発展に貢献できるのも、環境が整っていてこそ。
公平で効率的、かつ透明性の高いルワンダのグッドガバナンスにこれからも期待したいですね。
報告書のダウンロードはこちらから→ Doing Business 2018
各項目の日本語訳等はこちらのレポートを参照しました→ 日本のビジネス環境ランキングを上げるには何をすべきか?(大和総研)
タケダノリヒロ(@norehero)