ルワンダノオト管理人のタケダノリヒロ(@NoReHero)です。
「アフリカの学校」と聞いて、みなさんはどんな学校を思い浮かべますか?
「アフリカ」というだけで簡素で粗末なイメージを持ってしまう人も多いと思いますが、実際のルワンダの学校は活気に満ちています。
友だちと一緒に勉強して、遊んで、恋愛してっていう学生の本分は日本と変わりません。
そんなルワンダの幼稚園と小学校、それから中学・高校にあたるセカンダリースクールに潜入してきました。
授業の模様や校内の様子から生徒の恋愛事情まで、リアルなルワンダの学校情報をお届けします!
Contents
幼稚園・小学校
まずは私の近所の学校から。東部県ルワマガナ郡ムシャセクターにある、ルシシロ小学校。
生徒数約2500人の大きな公立校です。
ビジョンとミッション
校舎の壁にはこの学校のビジョンとミッションが。
To make our school a child friendly school
(チャイルドフレンドリーな学校へ)
SCHOOL MISSION
- Gender balance promotion
(ジェンダーバランスの促進) - Quality education
(質の高い教育) - Helping children disabilities
(障害のある子どもたちへの支援)
ジェンダーに関する項目が入っているのがルワンダらしいですね。ルワンダは世界でも有数のジェンダー平等推進国なのです。
世界経済フォーラムの発表した男女平等ランキングでは5位にランクインしています。
時間割
午前と午後の入れ替え制なので、給食はありません。時間割はこのようになってます。
8:00-8:40 2時間目
8:40-9:20 3時間目
9:20-9:40 午前休憩
9:40-10:20 4時間目
10:20-11:00 5時間目
11:00-11:40 6時間目
11:40-12:40 7時間目
(生徒入れ替え)
12:40-13:20 8時間目
13:20-14:00 9時間目
14:00-14:40 10時間目
14:40-15:00 午後休憩
15:00-15:40 11時間目
15:40-16:20 12時間目
16:20-17:00 13時間目
ご覧のとおり、休み時間はほとんどありませんが、午前と午後の休憩時間には生徒たちも元気に遊んでいます。
人気の遊びはサッカー、バレー、縄跳びなど。
小学校の授業
2年生の英語の授業にお邪魔しました。
きょうは「father」「mother」など家族の呼び名についての授業。
以前は「ルワンダの教育は詰め込み型だ」なんて聞いてたんですが、この学校の授業を何度か見せてもらった限りでは、むしろ能動的で参加型のアクティブ・ラーニングを積極的に取り入れている印象です。
この授業でもただ座って聞いているだけではなく、「自分から見たらこの人は父、この人は母、この人は兄」というようなロールプレイング形式のQ&Aを生徒どうしでやらせていました。
答えさせるだけではなくて問題を作らせるのって、理解を深めて創造性を育むうえで大事ですよね。
そしてうまく答えられた生徒には、みんなで「Flowers!!」と言いながら両手をふって褒めたたえます。
この学校の授業はいつ見ても一体感があって、すごくほっこりします。
ちょうどこの日は知人を通して紹介された、ソーシャルワーカーのマナさんが一緒に見学に来てくれていました。
先生から「何か英語の歌とか教えてもらえる?」と無茶ぶりされましたが、マナさんが『Head shoulders knees and toes』の歌を教えてくれて生徒にも大好評。
ふだん外国の方と接する機会などないので、生徒にとってすごく貴重な機会になりました。マナさんありがとうございます!
私はここの教員でもスタッフでもないんですが、いつゲストを連れて行っても快く迎えてくれるので、ほんとにいい学校だなと思っています。
幼稚園
この学校にはナーサリースクール(幼稚園)も併設されています。
こちらでも英語の授業を見せてもらいました。
↑幸せな気分になれるので動画もぜひご覧ください。
この「Thank you♪ Thank you♪ Very much!!」が可愛すぎて。
英語の教育レベルとしては、幼稚園の段階から「under the table」とか「on the table」とか前置詞の使い分けを教えてるみたいですね。なかなかハイレベル(むしろ小学生より難しいんじゃないかとw)。
「sun」「umbrella」「cup」など生活に密着している単語も、壁に貼ってある絵を見て答えていました。
「jump」「fly」といった動詞も、歌と身ぶり手ぶりを合わせてばっちり習得済み。
まあ可愛い。
ルワンダの英語教育
ルワンダでは、2008年に英語が公用語に追加され、フランス語からの転換が図られています。
「そんなに一気に英語に切り替わるなんてルワンダすごい!」と思ってる方も多いと思いますが、実際はまだまだ。
首都キガリならまだしも、地方で英語を話せる人はほとんどいません。
「ギブミーマネー」だけは得意な人が多いんですが、それでもふたりにひとりは間違って「アイギブユーマネー」と言うので、ボランティアが現地の人から募金されそうになるというよく分からないシチュエーションに陥りがちです。
しかし、このような学校教育により、若い世代では流暢に英語を話せる人が増加中。
現在小学3年生まではルワンダ語で教えられていますが、4年生からは全教科を英語で教えることになっています。
これからが楽しみですね。
中学・高校(セカンダリースクール)
続いてお邪魔したのは、東部県ンゴマ郡のGahima Agape Secondary School。ルワンダでは、「セカンダリースクール」が中学・高校にあたります。
ここは私とおなじ青年海外協力隊の先輩隊員・橋富さん(通称ちゃんかな)が理科教師として配属されている学校です。
ここは私立のボーディングスクール(寄宿舎制)で、生徒数は約140人とかなり少なめ。
ビジョンとミッション
この学校にも職員室にビジョンとミッションが掲げられていました。
To give quality education
(質の高い教育)
VISION
Knowledge based christian ethics
(知識基盤型のキリスト教倫理)
MOTTO
Excellence par la difference
(差異による卓越性)
VALUES
LOVE, DISCIPLINE, HYGIENE, INFLUENCE, ENVIRONMENTAL PROTECTION, ALWAYS EXCELLENCE, HARD WORK(愛、規律、衛生、影響力、環境保護、恒常的な卓越性、ハードワーク)
キリスト教系の学校だそうで、ビジョンにもそれが反映されていますね。
校内の様子
ちゃんかなに校内を案内してもらいました。
これはチャイム代わりの鐘、の代わりのタイヤホイール?と鍬の先端部分。
授業と休み時間の間に、生徒がガンガン鳴らしていました。なんだか趣があっていいですね。
ちなみに前述のルシシロ小学校では職員室にボタンがあって、それを押すと柳沢慎吾がやるサイレンみたいな音が鳴ります(ヴ~~ヴ~~って)。
キッチン(給食室)
こちらはキッチン。日本的な言い方をすると「給食室」ですね(懐かしみ)。
かまどとでっかい鍋で、140人の生徒+先生たちの食事を作っています。
ちょうどお昼どきに行ったので、給食が出来上がったところでした。
ちゃんかな「あっ、これが給食で出る豆ですよ!」
タケダ「えっ、どれどれ?」
タケダ「(どう見ても洗面器)…っああ、これか!」
ちゃんかな「これをご飯にかけて食べるんですよ!」
ということで、私もいただいてきました!初ルワンダ給食!
どうがんばっても美味しそうに撮れなかったんですが、味はふつうに美味しかったです!
ただ、メニューは毎日これだそうです…。
しかも生徒たちは寮生活。朝はポリッジ(オートミール)で、夜もこんな感じで炭水化物メインの食事なんだとか。
「さすがに毎日これはしんどいね…」とちゃんかなに話したら、「これだと飽きるからニンニクを持参した生徒もいたんですよ」と。
あえなく先生に見つかりニンニクは没収されてしまったそうですが、そのチャレンジ精神と創意工夫の気概は褒めてあげたいですね。
それにしても毎日メニューが代わって、栄養バランスもきちんと考えられていて、たまにデザートまでつく日本の給食の豪華さですよ。贅沢させてもらってたんだなあ…。
図書室
この学校には図書室もありました!と言ってもほとんどが教科書。
教科書は生徒全員に行き渡るほどの数がないため、ふだんは先生が書いたものを手書きで写しているそうです。
そんな「作業」に時間と労力を費やすのはもったいないと感じてしまいますが、そうせざるを得ないのが現状なんですね。
しかしこの図書室にある教科書は、貸出簿に記録すれば生徒たちが自由に借りられるため、わりとよく使われているそうです。
生徒たちは校内に暮らしているため、夜も空き教室で自習している生徒がたくさんいるんだとか。
とは言え電気も日本の学校のような蛍光灯ではなく、大きめの豆電球くらいの照明なのでまさに「蛍雪の功」状態。
そしてこのトタン屋根。雨が降るとものすごくうるさいです。
ちゃんかなによると、授業中に雨が降ると声が通らないので「雨が止むまで全員でなにもせずに待つ謎の時間」が訪れるとのこと。大変だ…。
実験室
図書室の1/3ほどのスペースは実験室として使われているそうです。
ルワンダの理科教育における課題のひとつが「実験をしないこと」。先生たちがそのような教育を受けてきていないなどの理由から、授業に実験を取り入れて実践的に考えるという機会が少ないそうです。
そのため、ちゃんかなは先生が実験をできるようにサポートをしてきて、私が訪問するちょうど前日に、ようやくルワンダ人の先生の手で実験授業を実施してもらえたんだとか。
こうやって書くと簡単に聞こえますが、じつは「自分でやる」のではなく「ルワンダ人にやってもらう」のはものすごく難しいんです。環境的なこと、技術的なこと、心理的なこと、乗り越えなきゃいけないハードルはたくさんあります。
でも、個人的には「ルワンダ人にやってもらう」のが青年海外協力隊のあるべき姿だと思っているので、はじめてちゃんかな先輩すごいなあと感心しました。
彼女はもうすぐ帰国ですが、最後に活動が実を結んでよかったですね。
その後「このガスバーナーが古い型でものすごく珍しいんですよ!」とちゃんかな先輩に熱弁を振るわれたんですが、1mmも興味がなかったので適当に相槌を打ってやり過ごしました。ごめんなさい。
ルワンダ中高生の恋愛事情
中高生と言えば気になるのは恋愛事情!
ちゃんかな先生が生徒から聞いたところ、生徒どうしで付き合っている子も多いんだとか。
そりゃそうですよね。寮は男女別とは言え、思春期の子たちが一日中おなじ学校の中で過ごすわけですから。
マジメな話になりますが、ほかの国では生徒の妊娠が問題になるところもあるそうです。異性の寮に入るのは禁止なのに忍び込んでしまうんだとか。
この学校では、いまのところそんな問題は起きていないそうです。私の地域でもよく集会で性教育が行われているので、ルワンダはその点進んでいるのかもしれませんね。
ルワンダのボーイズ&ガールズにはこのまま健全に恋愛を楽しんでほしいものです。
以上、ルワンダの学校紹介でした!
日本と比べると環境的には整っていない部分もかなりありますが、生徒たちはイキイキとしています。
給食を充実させたり、教科書を全員に配布したり、教室の設備を整えたり、教育環境を向上させることでルワンダの子どもたちの可能性はもっともっと広がるんじゃないかなと実感できた学校訪問でした。
それではまた。Umunsi mwiza(よい一日を)!
タケダノリヒロ(@NoReHero)